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【緊張で手が震える】効果的な3つの 対処法

公認心理師の藤井です。「緊張すると手が震える」というお悩みがあります。社交不安症(あがり症、対人恐怖症)の方で非常に多いです。特に仕事で手を頻繁に使う場合はとても困ります。例えばこのような感じです。

緊張すると手が震えて困ってしまう状況

「緊張して手が震える」といっても、仕事によって悩みは多様です。このような「緊張による手の震え」には認知行動療法が有効です。今回、認知行動療法で使われる具体的な対処法を紹介したいと思います。

【対処法の概要】「震えをコントロールする」は逆効果

これから複数の対処法を紹介していきます。基本方針としてはまず安全行動を減らします。後ほど詳しく説明しますが、安全行動とは「震えを隠そうとする行動」「震えないいように頑張っている行動」のことです。震えないようにしようとすればするほど、震えが気になります。震えをコントロールする、震えをゼロにするという方針は逆効果です。認知行動療法では震え対策に以下のような対処法を用意しています。

それでは1つずつ説明していきます。

■対処法①安全行動をリスト化する。

1-1安全行動とは?

 いきなり専門用語ですが重要な言葉です。定義と安全行動の例を説明します。

安全行動の定義

あがり症(社交不安障害・社交不安症)の人が頻繁にしてしまう行動です。安全行動とは不安や緊張を減らそうとする行動のことになります。この行動が不安を慢性化させます。緊張して手が震えないように頑張る行動は安全行動の可能性が高いです。

「緊張すると手が震える」場合の安全行動(例)

自分の安心を維持するための行動は逆効果なのです。ではどうして安全行動は悪いのでしょうか。欠点をお伝えします。

1-2安全行動の欠点

安全行動は以下のような欠点があります。

安心、安全のために様々な安全行動をやり続けるわけですが、それはとても疲れます。そして手の震えを避けるために普段の自分でいられなくなります。「手の震えを減らすために、いつもあれ(安全行動)をしなければ」と臨戦態勢でいなければいけません。常在戦場です。戦場にいれば不安ですよね。このように安全行動は短期的な安心と引き換えに長期的な不安や緊張を背負いこむことになるのです。

1-3安全行動をリスト化する理由

安全行動は減らしていく必要があります。減らすためには安全行動を具体的に把握する必要があります。具体的に把握するにはリスト化が有効です。リスト化の手順をご説明します。

1‐4リスト作成のポイント

「緊張すると手が震える」場合の安全行動リスト

リスト化した後は、リストに出てきた安全行動を減らしていきます。

■対処法2安全行動を徐々に減らす。

 安全行動をリスト化しました。安全行動を減らしていきます。しかし安全行動は自分を安心させるための行動です。そう簡単には減らせません。減らすのは難しいです。減らし方のポイントがあります。ポイントは以下の通りです。

安全行動を減らすポイント

  1. 減らしやすい安全行動から減らす。
  2. 完全に減らそうとしない。
  3. 他のことに意識を向けながら減らす

それでは1つずつ説明していきます。

2-1 ポイント①減らしやすい行動から減らす

 まずは減らしやすい安全行動から減らしましょう。リストを見ながら減らしやすさを基準にランキング化するのもおすすめです。ランキングの下の安全行動から減らしましょう。ランキング化の例はこのような感じです。

「緊張すると手が震える」場合の安全行動をランキング化した例

先ほどの安全行動の一覧表に点数をつけ順番を入れ替えました。安全行動を減らした際に不安は何点くらいかを数値化し、ランキング化しています。この例によれば「違和感が出てきたら止める」という安全行動を無くすとかなり不安が高くなります。逆に「安心できる場所で書く」という安全行動を無くす場合、不安は一番低いことになります。まずは、一番下の「自筆やサインが必要な書類は安心できる場所で書く。」という行動を減らしていき、徐々に点数の高い行動を減らしていく。このようなやり方をすると負担が少ないです。

2-2 ポイント②完全に減らそうとしない

 完璧に減らそうとしてはいけません。安全行動は、あなたを今まで守ってきた行動でもあります。あとは長年の習慣でもあります。そういう行動はすぐに減りません。時間がかかりますし、完全に消去もしにくいです。気長にやりましょう。「また安全行動をしてしまった」と減らす過程で後悔する方もいますが、大丈夫です。安全行動と気づかずにやってしまっていた時よりも十分に進歩しています。

2-3 ポイント③他のことに意識を向けながら減らす

安全行動のことを考えながら安全行動を減らす。そのような減らし方もいいのですが、ほかの方法もあります。それは「他のことに意識を向けながら減らす」です。震えを気にしている時は自分自身に意識が向いていませんか?特に手先や手へ意識が集中していると思います。その意識を意図的に他のことへ向けてみるのです。例えばこのような感じです。

「他のことに意識を向ける」の例

■対処法3周囲に「手の震え」について聞いてみる(世論調査)。

周囲にあえて不安なことを聞く方法を認知行動療法では「世論調査」と呼びます。

3-1 なぜ世論調査をするのか? 世論調査の理由

なぜ、隠しておきたい「手の震え」を周りに聞くのでしょうか。その理由と効果を説明します。

世論調査の理由

恐れている最悪や事態(人前で手が震える)や最悪な予測(人前で手が震えたら嘲笑される)が現実に起きたとしても、自分と同じように他人が考えていないことを確認します。それにより自分と他人との解釈にズレが起きていることに気づけます。この気づきのために世論調査を行います。

世論調査で期待できる効果

3-2 世論調査の段取り

  1. 手の震えに関して恐れていることをリストアップする。
    • 例 緊張して手が震える癖を周りに知られると嘲笑される。おかしいと思われる。
  2. 「1」に関して一般的な質問を作成する。
    • 例 緊張して手が震える人をどう思いますか?
  3. 次に「手の震え」に関する否定的な質問を作成する。
    • 例 緊張したら手が震える人は変だと思いますか?
  4. 身の回りの信頼がおける人に「2」「3」の質問を聞いてみる。
    • 世論調査の方法は、口頭でもアンケート用紙でもよい。どのような方法でもOK。
  5. 世論調査が終わったら結果をまとめる。
    • 自分の感想、自分の考えと他人の考えの違いをまとめる。

世論調査をカウンセリングでやってもらううのですが、「自分は心配しすぎだったことに気づいた」「特に周りは震えをきにしていない」という感想が多いです。意外な気づきが得られます。

まとめ

「緊張して手が震える」という悩みででお困りの方は、まずは安全行動のリストを作成しましょう。次にリストで挙がった安全行動を徐々に減らしてください。減らす際は今回お伝えしたポイントを参考にしてみてください。世論調査を行って自分の考えと他人の考えのズレに気づくことも有効です。「手の震え」に関して様々な考えに触れること自分の考えの幅も広がります。

最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。

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この記事の筆者

藤井 崇

公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。

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