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【あがり症】長く話すと声が震える場合の対処法!6つのステップ

公認心理師の藤井です。あがり症(社交不安症、社交不安障害、対人恐怖症)の人で「人前で長い時間話すと緊張して声が震えてしまう」という悩みを持つ方結構おられます。例えばこのような感じです

「長く話すと声が震えて困る」の具体例

このような悩みがあると日常生活に支障が生じます。毎日の仕事はもちろんですし、スキルアップのための学習にも不利益が生じます。「人前で長く話す場面」を避けることは可能ですが、完全に避けることは出来ません。避けることで色んなチャンスも失ってしまいます。

このような悩みには認知行動療法が有効です。この記事では認知行動療法の方法(不安階層表、行動実験)を使った対処法を解説していきます。この記事を読むと「長く話すと緊張で声が震える」という悩みへの対処法を知ることが出来ます。対処法は6つのステップで構成されています。順番に説明していきます。

認知行動療法の手順

まず、どのような手順で進めるかを最初にご紹介します。ステップ①から⑤は事前準備です。準備が終われば実際の場面にチャレンジしていきます。説明の前に大事な用語の説明です。不安階層表、安全行動、行動実験という言葉が頻繁に出てきますが事前にそれぞれ説明しますね。

【用語の説明】不安階層表とは?

不安階層表とは、不安になる状況を不安の強さによってランキング表にしたものです。不安が高いほど点数は高くなります。実際にやったことが無いこともリストに加えても大丈夫です。

【不安階層表の例】※人前で話すのが怖い人の例

【用語の説明】安全行動とは?

対人恐怖症があると、人と目を合わせることを避けて下を向いてしまうなど、対人不安が生じる場面を避けたり、できるだけ不安を感じないように行動します。こうした行動を「安全行動」といいます。典型例は下記の通りです。

【安全行動の典型例】※声の震えが怖い人の例

【用語の説明】行動実験とは?

認知行動療法のテクニックの一つです。頭の中で考えている心配なことやネガティブな予測が本当なのかを確認する手続きです。被験者はあなた。

それでは次からは手続きの具体的な説明に入ります。

ステップ①【事前準備】「長く話すと声が震える」場面を複数思い出す。

「長く話すと声が震える」という状況が怖く不安なわけです。まずはこの状況を思い出しましょう。多めに思い出すと次のステップである不安階層表が作成しやすくなります。思い出す際はポイントがあります。ポイントは以下の通りです。

場面を思い出すポイント

これだけでは分かりにくいと思うので例をお伝えします。「緊張すると声が震える人」の例です。

「緊張すると声が震える」場面を思い出した例

どんな場面、そこで何をしていたか、誰と一緒だったかを書いていきましょう。

ステップ②【事前準備】「長く話すと声が震える」場面をランキングにする。

ステップ①で様々な場面を思い出したらそれを不安階層表にしていきます。作成にはポイントがあります。

不安階層表作成のポイント

不安階層表の例は下記の通りです。架空の例です。

ステップ③【事前準備】 不安な時にどのような安全行動をしているかを振り返る。

不安階層表を作成したら安全行動を振り返っていきます。安全行動を続けると不安は慢性化します。安全行動は一時的に不安を下げているように思わせているだけで結局は下げていません。安全行動を減らすことが大事ですが、減らす前にどのような安全行動をしているか確認していく必要があります。ただ、安全行動は分かりにくいので見つけるにはポイントがあります。「安全行動」というと難しく考えがちですが、「不安な時についついやってしまう癖。不安を紛らわすような行動」と思っていただければ大丈夫です。

安全行動を発見するためのポイント

「長く話すと声が震える」という場合、こういう安全行動が考えられます。あくまでも例ですが一覧表にしてみました。参考にしてみてください。

「長く話すと声が震える」という場合の安全行動の典型例

安全行動は見つけにくいです。最初は1つ、2つ見つけるくらいで大丈夫です。認知行動療法ではこの安全行動を探す作業が非常に重要です。

ステップ④【事前準備】「長く話して震えたらどうなるか」を予測する。

 あがり症(社交不安症、社交不安障害、対人恐怖症)の人は最悪な事態を予想しがちです。例えばこんな感じです。

このような悪い予想を考えてみることが重要です。なぜならこの予測が当たるのか外れるのかを検証するのが行動実験だからです。行動実験の前に色々予測を立ててみてください。「長く話すと声が震えてしまう」場面で本当に震えたら自分にどんな災いがふりかかってくるかを考えると悪い予測が出てきやすいです。

ステップ⑤【事前準備】行動実験の計画を立てる。

予測を立てたら次は行動実験計画を立てます。今までのステップで取り組んだことを有効活用していきます。行動実験の計画の立て方のポイントを説明していきます。日時、予測、安全行動に分けて行動実験における計画の立て方を説明します。

5-1 行動実験の計画を立てる際のポイント(日時)

5-2 行動実験の計画を立てる際のポイント(予測)

5-3 行動実験の計画を立てる際のポイント(安全行動)

これらの計画を立てたら1度紙にまとめると分かりやすいです。カウンセリングではワークシートに書いてきます。記載例は以下の通りです。記載例では複数の安全行動を減らそうとしていますが、最初は「1回の行動実験で1つか2つの安全行動を減らす」というやり方で十分です。

行動実験の記載例(架空のケース)

※「同僚に聞く」というのは難易度の高い行動です。行動実験に慣れてきたらやってみることをお勧めします。いきなり一人でやるのは大変なので専門家に相談してくださいね。

ステップ⑥【実際にチャレンジ】行動実験に取り組む。

準備も終わったので行動実験にチャレンジです。

行動実験に取り組む時のポイン

まとめ

「長く話すと声が震える」という悩みの対処法を説明しました。6つのステップがあります。

  1. 「長く話すと声が震える」場面を複数挙げてみる。
  2. 複数挙げた場面に点数をつけて不安階層表を作る。
  3. 安全行動を振り返る。
  4. 「長く話して声が震えたらどうなるか」を予測する
  5. 行動実験の計画を立てる。
  6. 実際に行動実験をやってみる。

 まずは不安階層表を作成し、どんな安全行動をしているかを振り返ります。そして実際に震えたらどうなるかを予測する。次は行動実験の計画を立てて難易度の低い所からチャレンジしてください。やり方が分からない人は自己流でやらずに相談してください。

最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。

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この記事の筆者

藤井 崇 Edit profile

公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。

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