プレゼン前、緊張対策のやりすぎでこんなことになっていませんか?
・プレゼンのリハーサルで寝不足
・プレゼン前は想定問答集を作りすぎて疲労困憊
・準備しても準備しても、「最悪な結果になる」と考えてしまう。
こういった緊張対策を実践していると思います。だけどその方法が緊張を慢性化させているのです。心理学では「緊張」を減らそうとすればするほど、結局緊張は減らないことが分かっています。緊張を減らす方法は、緊張対策に逆効果なんです。だけど、「緊張を減らす方法が逆効果なんておかしい!」って思う人も多いと思います。
緊張対策が逆効果な理由を公認心理師の私がご紹介していきます。これを知れば、プレゼン前の「ネガティブな考え」に悩まないでで済みます。
この記事のまとめ
・緊張や不安を減らそうとする行動では緊張や不安を一時的に下げるだけです。このような行動を「安全行動」といいます。安全行動は不安や緊張を慢性化させてしまうだけです。
・まずスピーチをすることを事前に考えただけで不安になりますよね。このような先々のことを心配してしまうのを「予期不安」といいます。予期不安を減少させるために先ほど述べた安全行動を行います。ただその安全行動は効果があったでしょうか?一時的に効果があったように感じますが、結局不安は消えませんし、安全行動をしているときは予期不安をずっと考えてしまうことになります。
・安全行動はたくさんありますが、スピーチ恐怖症の人だと何度もリハーサルをする、質問への想定問答集を作りこむ、受けを狙おうとする、などが代表的です。
安全行動は緊張や不安を減らしません。言い換えれば隠すだけです。結局不安や緊張について考え続けてしまいます。安全行動を減らすのがスピーチ恐怖症対策の第一歩です。それでは具体的な減らし方についてご紹介していきましょう。
目次
スピーチの本番前にリハーサル(練習)を繰り返し丁寧にやっていませんか?過剰なリハーサルは不安や緊張を高めるだけです。緊張や不安を減らそうとする行動では緊張や不安を一時的に下げるだけです。このような行動を安全行動といいます。安全行動は不安や緊張を慢性化させてしまうだけなのです。
良い内容にするためには、リハーサルは大事です。ただ、不安や緊張を紛らわすためにリハーサルを繰り返すのはあまりおススメしません。繰り返すほど心配な点が目につきます。心配になるので、またリハーサル・・という流れになります。結果として寝不足になりますし、寝不足になると緊張や不安が高くなりやすいです。
対策としてはリハーサルをする回数を決めておきしょう。繰り返さないことが大事です。スピーチ前日、前々日はリハーサルをしない、というルールを決めておくといいでしょう。リハーサルをしたくなってもあえてしないのが大事なポイントです。あえてしなくてもスピーチは上手くいったという成功体験を獲得するのがスピーチ恐怖症改善の第一歩です。
「細かい質問、意地悪な質問、バカにしたような質問などが飛んでくるかもしれない。答えられないと笑い者になるし、スピーチも失敗になる。」という考えを打ち消すためにせっせと想定問答集を作ってませんか?このように先々のことを心配してしまうのを「予期不安」といいます。
予期不安を減少させるために先ほど述べた安全行動として「想定問答集を作る」を行います。ただその安全行動は効果があったでしょうか?一時的に効果があったように感じますが、結局不安は消えませんし、安全行動をしているときは予期不安をずっと考えてしまうことになります。過剰な想定問答集の作りこみは不安や緊張を悪化させるだけなんです。
想定問答集を作りすぎるとキリがありません。面白いもので、予期不安は際限なく出てきやすいです。ですので想定問答集はどれだけ作っても間に合いません。その間、常に「スピーチを失敗したらどうしよう」という不安に悩まされてしまうのです。
対策としては「ほどほどに想定問答集を作る」ということになります。「ほどほど」というのは曖昧ですが睡眠時間や他の仕事に影響が出ない程と捉えてください。いきなり減らすことに抵抗がある人は、徐々に減らすようにしていきしょう。
「自分の話はつまらない」「だから聴いている人をひきつけるような話をしなくては」と思っているかもしれませんが、これも予期不安の一種です。この不安を解消するために受けを狙ったり、話をもりあげようとします。これも安全行動の一種です。
受け狙いをしはじめると、それが癖になります。受けている時はいいのですが、受けなかったり意外な反応になると途端に不安や緊張が強まってしまいます。そして本当にスピーチが失敗することもあります。スピーチで大事なのは、必要な情報を相手に届けて仕事を円滑に進めることです。面白い内容を話すことが目的ではありません。
対策としては、受け狙いなどの部分は端折って、必要なことのみ伝えるようにしましょう。淡々と仕事に必要な大事なことを伝える。これで十分です。自己紹介や自分の人となりを知ってもらおうとか、でもそれで受けなかったらどうしようとか、そういう事を考えなくても大丈夫ですよ。
スピーチ恐怖症の人は予期不安を解消するために安全行動をします。それは一時しのぎになりますが、結局予期不安について考え続けることになりますので、不安や緊張は慢性化してしまうのです。
「安全行動をしなくてもスピーチを乗り切ることができた、予期不安は当たらなかった」という経験を積むことが不安、緊張対策にとても大事なことなんです。スピーチ前についついやっている「不安を隠す、紛らわす行動」を減らしてみてください。ただやり方が分からない時は、自己流でやらずに相談してくださいね。
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
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この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。