公認心理師の藤井です。あがり症の人は「声が震えたらどうしよう?」「実際に震えるんだど・・・」という悩みをお持ちです。あがると生理的に声が上ずり、かつ声が出にくくなる場合は多いです。ただし、声が震えるからとプレゼンやスピーチの場面を回避していると益々状況は悪化します。慢性化すると社交不安症という病気になっていきます。
社交不安症の改善には、認知行動療法が有効す。科学的に効果が立証されています。同様にあがり症対策にも、認知行動療法がおすすめす。この記事では、認知行動療法は具体的にどのような方法をなのかをご説明します。この記事を読めば「あがり症で声が震えることに悩む。震えたらどうしようか心配だ」という悩みへの改善方法を知ることができます。
まず、どのような手順で進めるかを最初にご紹介します。手順は4つです。手順1から3で事前に考えや行動の癖を把握します。4で実際の場面にチャレンジしていきます。それでは順番に解説していきます。
目次
まず、「声が震えそうな場面」を特定します。声が常に震えているわけではなく、必ず特定の状況があるはずです。もし、緊張に関係なく、常に発声が難しく声が震えるのなら身体の病気の可能性が高いです。耳鼻咽喉科や内科を受診してみてください。
「声が震えそうな場面」を明確にすると、認知行動療法に取り組みやすいです。「声が震える」といっても強弱があります。酷く震える場面からそうでもない場面まで順番を付けて整理すると尚良いでしょう。そして、実際にチャレンジするときは震えが弱い場面からチャレンジするのをお勧めします。
場面特定の仕方ですが、実際の例をお伝えします。以下の通りです。文末の数字は不安の数値です。数値が高ければ高いほど、不安が高い場面です。
これくらいの詳しさで大丈夫です。単に「プレゼン」「注文する時」「意見を言う時」という書き方だと漠然としすぎていて取り組みにくいです。
場面の特定が出来たら、次に実際その場面で何が起きるかを予測します。予測は頭の中に浮かぶ仮説です。認知行動療法は頭の中の仮説が、どこまで実際に起きるかを検証するプロセスになります。仮説は別名「認知」とか「考え」とも表現します。実際に声が震えたら、一体どのような展開になるかを予測してみるのです。
予測の立て方の例ですが、以下の通りです。
このような感じで予測を立てましょう。大事なのは「声が震えてしまった後にどういう展開になるか」まで予測してみることです。震えてどうなるかを予測してみましょう。
あがり症の人は、不安や緊張が高く、かつ「不安や緊張を周囲に気づかれてはいけない」という思いが強いです。ちなみに不安や緊張は原始的に備わっている感情ですから消えません。なので、「不安や緊張をゼロにする」ということはかなり難しいのです。
不安や緊張を隠そうとすると一時的に安心するのですが、慢性的に不安や緊張が続いてしまいます。不安や緊張を隠そうとする行動を「安全行動」と言います。声の震えを隠そうとする行動も安全行動に含まれます。
このような安全行動を頻繁にやっていませんか?
安全行動とは不安なことを一時的に避けているだけです。長期的には問題解決になっていません。安全行動を続けると、不安や緊張が慢性化するだけです。
安全行動を把握したら、それとは真逆の行動を増やします。例えばこのような感じです。
事前準備も終わったので実際の場面にチャレンジしていきます。
あがり症で「声の震え」が気になる方は、まずは安全行動を見つけ、それを少しずつ減らすということを心がけてください。「あがってしまいそうな感覚」は一定の強さではありません。必ず引きます。再度、強くなりますが、再び引いていきます。やり方がわからない方は自己流でやらずに相談してくださいね。
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
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この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。