公認心理師の藤井です。社交不安症は「あがり症」「対人恐怖症」「社交不安障害(社交不安症の古い呼び方」とも呼ばれます。名前は様々ですが「社交不安症の別名」と思っていただければと思います。社交不安症は知名度はあるものの、中身は正確に知られていません。今回は社交不安症について解説していきます。今回の記事で取り上げるテーマはこちらです。
この記事で取り上げるテーマ
それでは説明していきます。
目次
これが基本的な特徴です。固い言い回しになってしまいましたが、要するに「他人と関わったり、注目を浴びることがすごく怖い。」「不安がバレたら生きていけない」「不安がバレたら周りから徹底的に批判、嘲笑されるんじゃないか」と強く思ってしまう病気なんです。
病院受診の目安をお伝えします。下記のような状態であれば早めに病院受診をしましょう。その際は精神科、心療内科に受診しましょう。
病院受診の目安
ポイントは最後の「6ヶ月以上」です。たまたまそういう状況が6ヶ月以上続くというのは考えにくいです。6ヶ月以上続いていたら、受診の目安になります。心配な方はそれより早めでもいいでしょう。病気は何事も早めの対策が肝心です。
社交不安症といっても色々な種類があります。代表的な12個を説明します。
複数の症状を持っている方もいれば、1つだけの人もいます。
うつ病の人も不安や恐怖が高いので社交不安症と間違われやすいです。実際、「うつ病と社交不安症を同時に治療中」という方もいます。2つ以上の病気が併発している状態です。ただ、うつ病と社交不安症は違う病気です。その違いをご説明します。
社交不安症とうつ病の違い(悩むのは未来か過去か?)
社交不安症の人は「未来」について不安を感じます。「あの人に嫌われたかも」「失敗したので同僚に嫌われるかもしれない」など。「もしかして・・こうなるんじゃないの?」と将来について悩むわけです。うつ病の人は「過去」について悩みます。「自分は生まれてくるんじゃなかった」「この仕事につ就かなきゃよかった」など。「ああすればよかった」「こうすればよかった」と繰り返し考えることが多いです。
社交不安症の人はアルコール依存症になりやすいと言われています。「不安になったらお酒で紛らわす」ということが習慣化してしまうと要注意です。お酒の力を借りても一時しのぎですし、飲酒量がどんどん増えていくだけになります。
社交不安症を悪化させる要因を説明します。
社交不安症の人は「周りは常に自分を見ている」という感覚が強いです。そのため常に他人の目を意識しなくてはいけませんし、完璧なコミュニケーションをしようと努力しすぎてしまいます。完璧にしようとすればするほど、不安は高くなりますし、理想通りにはいきません。そんな自分にダメ出しをたくさんします。ダメ出しが繰り返されるので、自分を否定的に考える癖が強まりますし固定化するのです。これは社交不安症を悪化させるだけです。
社交不安症の人は不安が高まると自分自身に意識が集まります。「自分に意識を向けすぎる」もNG行動です。抽象的な説明なので私の例をベースに解説します。
意識が内側に向くとは?(藤井の例をもとに解説)
私は運転が苦手です。高速を運転するのはとても怖いです。高速道路を運転しているときは不安が高まります。下道を走るときは周囲に満遍なく注意を向けて走行しています。ところが高速道路を運転しているときはそうではなく、自分の腕、背中など身体に意識がかなり向いています。なかなか外の風景や道路状況に意識を向けられます。この状態が「意識が自分の内側に向く」状態です。社交不安症は、対人場面や注目を集める場面では同じようなことが起きています。緊張や不安が強いと周りのことに目が行かない状態はありませんか?周りで何が起きているか気が付いていないのです。
社交不安症の人は他人に不安がバレるのをひどく恐れます。そのため、不安や恐怖を隠そうと色々なふるまいをしがちです。このような行動や言動を続けるとかえって社交不安症が慢性化してしまうのです。
慢性化・悪化してしまう理由(スピーチ恐怖をもとに説明)
不安を隠そうとすればするほど、その行動はやめられない。結果的に不安は高いままになっているわけです。この例だと「台本の作成」「本番前の練習」という行動がNG行動です。
薬と認知行動療法(カウンセリング)が良くなる方法です。社交不安症の治療薬は保険適応されています。
薬について
認知行動療法(カウンセリング)について
いかがだったでしょうか?今回は下記のことを説明しました。
どんな病気もそうですが早め早めの対応が必要です。
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
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この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。