公認心理師の藤井です。社交不安症で人で「会食恐怖症」の方結構おられます。社交不安症にも様々な種類がありまして、会食恐怖症は社交不安症の一種なのです。
会食恐怖症とは?
日常生活は以下のようなことで困ります。
会食恐怖症で困ること
生きている限り、食事はついてまわります。どうしても他人と食事をする機会は生じてしまいます。会食を避け続けると仕事やプライベートで色々なチャンスも逃してしまうかもしれません。ちなみに会食恐怖症には認知行動療法が有効です。この記事では、認知行動療法の方法(不安階層表、行動実験)をベースに会食恐怖症の改善法を解説していきます。この記事を読むと会食恐怖症の改善方法を知ることができます。
まず、会食恐怖症への誤解を説明し、その後に認知行動療法を使った改善方法を紹介します。
目次
緊張する場面でも食べれるようになりたいと考えるあまり、ひたすら食べることを目的にされる方がいます。「食べなきゃいけない!」「完食しなきゃだめだ!」と考えすぎてしまうのです。ただ、無理に食べなきゃいけないのは拷問です。食べたい分だけ食べればOKです。また会食恐怖症がハードルになってやりたくても出来ないことをやれるようにする。これを目標にしましょう。例えばこのような感じです。
こんな目標がおすすめ
会食恐怖症の原因は、「過去の親子関係や幼少期の葛藤である。家庭の問題が恐怖や不安を引き起こしている。」という意見もよくありますが、実際よく分かりません。確かに両親の不和などがある方もおられます。ただ、それだけが問題で会食恐怖症になるわけでもありません。大事なのは今の自分の困っていること(会食恐怖症)に注目すること。過去に注目しすぎてしまい、現在の問題が放置とならないか心配です。カウンセリングに対して「昔の話を根掘り葉掘り聞くこと」「親子関係のことをあれこれ聞くこと」などの誤解もまだまだありますが、認知行動療法は過去のことよりも現在の問題(会食恐怖症)に注目していきます。
会食恐怖症には認知行動療法が有効です。今回は「外食すると気持ちが悪くなって吐くかもしれない」というお悩みを例にして認知行動療法の具体的な中身を7つのステップに分けて解説していきます。
まずは会食恐怖がどのような場面で起きるのかを分析します。分析の際は認知行動療法のモデルを使います。分析のポイントは以下の通りです。分析することで自分が困っていることを客観視できますし、どこから改善していけばいいか把握しやすくなります。
分析のポイント
モデルを作成したら、今度はモデルのようなことが起きる場面をランキング化していきます。会食恐怖の強さはお店、食べるもの、会食相手、時間帯などで変化していきます。会食恐怖の強さが低い状況から高い状況まで点数をつけてランキング化しましょう。
不安階層表作成の目的とポイント
不安階層表を作成したら行動実験にチャレンジします。例えば不安階層表に書いてある「すぐに満腹になりそうな料理、腹持ちが良い料理を満腹度80%くらいまで食べる」という状況にチャレンジするとします。このように実際の場面にチャレンジすることを認知行動療法では行動実験と呼びます。大事なキーワードなので改めて説明します。
行動実験とは?
頭の中で考えている心配なことやネガティブな予測が本当にそうなるのかを確認する手続きです。認知行動療法の方法の一つです。実験なので実験結果の予測、実験計画を立てることが事前準備で必要です。行動実験をどう計画するかを次から説明します。
当たり前ですが、会食場面が怖いということは、「こんなことになったら大変だ」と考えているわけです。言い換えると未来を悪く予測しています。行動実験で実際の場面にチャレンジするわけですが、チャレンジしたらどんなことが起きるかを予測します。
行動実験における予測の例
予測を立てた後は安全行動を振り返ります。安全行動という大事なキーワードが出てきました。改めて説明します。非常に重要なキーワードです。
社交不安症の人が頻繁にしてしまう行動です。会食恐怖症は社交不安症の一種ですから、やはり安全行動をしがちになります。安全行動は不安や緊張を減らすために行います。ただ、この行動が不安を慢性化させてしまい、長い目で見ると症状を悪化させてしまうのです。最悪の場合、安全行動をしないと食事が出来なくなってしまいます。
会食恐怖症の安全行動の典型例
安全行動は短期的には有効です。ひとまず安心できます。ただし、不安や恐怖を避けるためには安全行動なしではいられなくなります。常に安全行動を続けるわけにもいかず、結局外食に行けなくなってしまうのです。
考えと安全行動も確認できたので、行動実践に入りたいと思います。実際のカウンセリングで行動実験について打ち合わせをする際はワークシートを使います。ワークシートは以下の通りです。架空の例として「すぐに満腹になりそうな料理、腹持ちが良い料理を満腹度80%くらいまで食べる。」にチャレンジする行動実験を行うということにします。記入例は以下の通りです。
行動実験のポイント
会食恐怖症の誤解、改善方法について説明しました。会食恐怖症は認知行動療法で改善が可能です。当カウンセリングルームでも認知行動療法をやっておりますのでお気軽にお問合せください。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
認知行動療法やLINE・Zoomでのカウンセリングを提供しておりますので、もし専門家のサポートが必要な方はカウンセラープロフィールやメニューをご確認の上、ご利用案内に沿ってお問い合わせください。
この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。