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【雑談恐怖症】雑談が怖い場合の対処!4つのステップ

 公認心理師の藤井です。対人恐怖症(社交不安症、社交不安障害)の人で「雑談が怖い」という方がいます。このような場合、雑談恐怖症とも呼ばれます。対人恐怖症の一種です。雑談が怖いために以下のような生活の支障が起きてしまうのです。

「雑談恐怖症の具体例」

雑談恐怖症の人が恐れている2つのこと

雑談恐怖症の人は2つのことを恐れています。

  1. 雑談をすることで恥をかく。
  2. 雑談をしていると周りから否定的な評価を受ける。

この2つは典型的な対人恐怖症の特徴です。恥をかいたり、批判されるのを恐れるわけです。雑談恐怖症克服のためには「雑談で恥をかく、否定的な評価を受けるのが怖い」という部分にアプローチしていく必要があります。

このブログでは雑談恐怖症改善のポイントや対処を解説していきます。紹介する対処法は科学的に効果が実証されている認知行動療法をベースにしたものです。対処法は4つのステップに分かれています。ステップ1から3が事前準備、ステップ4が実際場面への介入になります。それでは説明していきます。この記事を読むと「雑談恐怖症」への対処法を知ることが出来ます。

ステップ1 認知行動モデルを使って雑談恐怖症を分析する。

まずはどのような場面で雑談恐怖症が起きるかを分析します。常に雑談が怖いわけでは無いはずです。様々な状況で雑談恐怖のレベルも違うでしょう。認知行動療法のモデルを使って分析を行いますが、ポイントは以下の通りです。

1-1 分析のポイント

このように図示します。図示することで、整理されていない困り事が徐々に明快になってきます。そしてどこから手を付けていいかが明確になります。とはいえ、いきなり一人で認知行動モデルを使って分析することはなかなか難しいのでカウンセラーと一緒にやることをお勧めします。ちなみに青い枠の部分が「雑談恐怖症の時にやっている行動」になります。もし、この行動が恐怖を減らすためにやっているのだとしたら、安全行動かもしれません。安全行動は重要なキーワードなので、後ほど詳しく取り上げます。今は「不安や恐怖を減らすためにやっている行動」とご理解していただければ十分です。

ステップ2雑談恐怖症の場面をランキングにする(不安階層表作成)

認知行動モデルは1つの場面ですが、今度は雑談恐怖症で困っている様々な場面をランキング化していきます。ランキング化した表を不安階層表と呼びます。

2-1 不安階層表作成のポイント

このように不安が起きる場面をランキング化していきます。このランキング表を作成することで、漠然とした雑談恐怖症の正体が明確になるのです。明確になればどこからチャレンジ(つまり行動実験ですが)するかが分かりやすくなります。基本的には点数の低い所からチャレンジしますが自己流でいきなり点数の高いところからチャレンジする人がいます。ここは要注意です。マラソンの経験の無い人がいきなりフルマラソンにチャレンジするようなものです。できれば専門家と相談しながら進めてください。

ステップ3行動実験の計画を立てる。

不安階層表を作成したら、実際の場面にチャレンジします。例えば不安階層表に書いてある「職場のランチに参加して雑談をする」という状況にチャレンジするとします。このように実際の場面にチャレンジすることを認知行動療法では行動実験と呼びます。大事なキーワードなので改めて説明します。

3-1 行動実験とは?

頭の中で考えている心配なことやネガティブな予測が本当にそうなるのかを確認する手続きです。認知行動療法の方法の一つです。実験なので実験結果の予測、実験計画を立てることが事前準備で必要です。行動実験をどう計画するかを次から説明します。

3-2【行動実験】まずは実験結果を予測する。

 行動実験をする場面は、先ほど述べたように「職場のランチに参加して雑談をする」です。ではどんなことが起きるか予測をします。予測の例を挙げてみました。認知行動モデルの「認知(考え)」の部分があてはまります。

実際に予測を立てた例

このような感じで予測を立てましょう。

予測を立てる際のポイント

3-3【行動実験】実験中にどんな安全行動をしているかを振り返る

予測を立てた後は安全行動を振り返ります。安全行動という大事なキーワードが出てきました。改めて説明します。非常に重要なキーワードです。

安全行動の定義

あがり症(社交不安障害・社交不安症)の人が頻繁にしてしまう行動です。安全行動とは不安や緊張を減らそうとする行動のことになります。この行動が不安を慢性化させます。雑談恐怖症の人は以下のような安全行動をやりがちです。

雑談恐怖症の安全行動の典型例 ※認知行動モデルの青枠の部分が当てはまります。

このような感じです。こんなことをしてたら常に緊張です。リラックスできません。でも、雑談恐怖症の人はこのようなことをやってしまいがちなのです。このような安全行動は短期的には効果的です。一時的な安心を得られます。ところがその安心は一時的に過ぎず、長い目で見れば常に恐怖や不安に振り回されてしまうわけです。この安全行動を徐々に減らし、いつも通りの行動をするようにチェンジしていく必要があります。

3-4【行動実験】実験中に試す「安全行動ではない行動」を考える。

先ほど、チェンジしていく必要があるとお話しました。安全行動を把握したら「安全行動ではない行動」を考えましょう。実際の行動実験ではこちらの行動を積極的にやっていきます。徐々に安全行動を減らすわけですが、安全行動とは逆の行動をやれば自然と減っていきます。例えば下記の通りです。

「安全行動ではない行動」の例(雑談恐怖症の場合)

このように感じです。いきなりこれらの行動を増やすと無理が生じます。取り組みやすいところからで結構ですし、もし上記のような行動の難易度が高ければ、難易度を下げて取り組むことをお勧めします。取り組みやすさ、難易度の調整などは1人では難しいのでカウンセラーと相談しながら取り組むと良いでしょう。

3-4【行動実験】日時、予測、安全行動などをワークシートに記載する

今まで、以下の内容をまとめてきました。

  1. 行動実験に取り組む状況
  2. 行動実験をした際の予測
  3. 安全行動
  4. 安全行動ではない行動

実際のカウンセリングではワークシートにそれぞれ記入していきます。記入しないでいきなり取り組む方法もあるのですが、まずはワークシートに記入して整理することをお勧めします。記入例は以下の通りです。

ステップ4 行動実験に取り組む。

事前準備も終わったので実際の場面で行動実験です。

行動実験のポイント

まと

雑談恐怖症の改善方法をお伝えしました。まとめると以下の通りです。

  1. 困っている状況を認知行動モデルで分析
  2. 困っている状況をリスト化(不安階層表)
  3. 行動実験の準備をする。
    • 行動実験の状況を設定
    • 行動実験の結果を予測する。
    • 安全行動を振り返る。
    • 安全行動ではない行動を設定する。
    • 上記内容をワークシートに記載
  4. 実際に行動実験にとりくみ、実験結果をまとめる。

やり方がわからない方は自己流でやらずに相談してくださいね。最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。

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この記事の筆者

藤井 崇

公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。

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