公認心理師の藤井です。
社交不安症の人には共通した「考えのパターン」があります。この考えが強くなり、御自身を負のループに追い込みます。そこで今回、「社交不安症の人が陥りやすい考えのパターン」を3つに要約し記事にしました。今から説明する考えが強くなりましたらぜひ気を付けていただければとおもいます。この考えのパターン自体が症状でもあるのです。
まず、「社交不安症の人が陥りやすい考えのパターン」とは以下の3つです。
社交不安症じゃない人も、こういう考えは多少は持っていると思います。ただ、社交不安症の人は、社交場面でこれらの考えが特に活性化されるのです。それでは、それぞれの考えのパターンを詳しく解説していきます。
目次
社交不安症の人は、対人場面や社交場面への意識が高いです。意識が高いのは良いのですが、対人コミュニケーションを完璧にしようとしがちです。そして少しのミスも気になってしまいがちです。コミュニケーションする時にこのように考えてしまいませんか?
このような感じで相手に不愉快な思いをさせず完璧に丁寧にコミュニケーションしようとします。確かにこのような考えは大事です。ただし、完璧なコミュニケーションを達成するのは難しいことです。相手もいることですし、場面によって対応も多様です。完璧さを目指すので、いつも自分の言動が不完全に思えてしまいます。結局「不完全なコミュニケーションをする私」というのが自己評価になってしまい、過剰に自分を卑下してしまうのです。さらに慢性的に不安が高めにもなります。完璧なコミュニケーションを目指さず、「淡々と用件が終わればそれでよい」くらいを目指しましょう。不完全なコミュニケーションに少しずつ慣らしていくことをお勧めします。
社交不安症の人は将来を悲観的に考えます。悪い未来が待っているという信念が強すぎるのです。まずコミュニケーションで完璧を目指すので、失敗をとても恐れます。恐れるだけではなく、失敗したら「否定的な結末」になってしまうと考えるのです。具体的にはこのような考えが活性化され未来を否定的に捉えてしまいます。
このような考えが強まり、「コミュニケーションでうまくいかないと自分には暗い未来が待っている」と思ってしまうのです。この暗い未来を避けるためにプレゼンや会話では失敗を避けようとします。さらに自分が失敗がしているか確認するために周囲の言動や態度を細かく観察してしまいます。こうなるとやはり慢性的に不安が高くなります。コミュニケーションでミスがあっても、否定的な結末になるとは限りません。予想しているような最悪な未来は滅多に起きないはずです。
社交不安症の人は自己評価がかなり辛辣です。「私のこういうところがコミュ障」「私のこういうところがキモい」など自分自身は変であるという信念が強いのです。その結果、このような「まずい考え」が強くなります。
このように一貫して自分自身を責め、卑下し、場合によっては貶める人が多いです。社交不安症の人は自分は価値のない人間だと思いがちです。自分の身体的特徴、癖で周りを不愉快にさせていると信じがちです。こういう場合、1度自分が話している姿をスマホで録画してみることをお勧めします。録画した姿をカウンセラーや信頼できる知り合いに確認してもらうのです。この方法は認知行動療法のビデオフィードバックという方法です。詳しいやり方はこちらの記事で説明しております。
社交不安症によく起こりやすい代表的な考えのパターンを説明しました。これらの考えがあるからこそ、努力出来たり社会的に成功する部分もあると思います。考えが過剰になると御自身を苦しくさせてしまうだけです。
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
認知行動療法やLINE・Zoomでのカウンセリングを提供しておりますので、もし専門家のサポートが必要な方はカウンセラープロフィールやメニューをご確認の上、ご利用案内に沿ってお問い合わせください。
この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。