公認心理師の藤井です。
【この記事で分かること】
社交不安症は「あがり症」「対人恐怖症」とも呼ばれています。そもそも、「社交不安」とはなんでしょうか?
社交不安症の「社交不安」とは?
社交不安が悪化するとどうなるか?
このような社交不安症ですが、「人見知り」「性格の問題」「誰でも緊張したり不安になったりする」と誤解されることが多いです。性格の問題ということで、何も対処しないとズルズルと悪化します。その結果、先ほど述べた「不登校」「休職」「退職」に追い込まれます。
このブログでは以下の3つを解説します。
具体的な内容入る前に1つだけ注意点があります。
【要注意】社交不安症になる原因は不明
社交不安症になる原因は諸説あり明確になっていません。「親のせい」「トラウマのせい」と言い切れません。遺伝と環境が複合的に影響していると考えられています。遺伝だけ、環境だけでもないです。そもそも原因探しを続けると精神衛生が悪化します。ご注意ください。
それでは具体的内容について紹介します。
目次
社交不安症も様々な種類があるのですが、緊張型対人恐怖と確信型対人恐怖の2つに分かれます。対人恐怖は社交不安の昔の言い方です。
他人と接する場面で強い不安や緊張を感じてしまい、社交場面を避けてしまう状態です。病的になると社交不安症と診断されます。日常的な言葉で説明すると「人の目を気にする超緊張しやすい人」です。過度な緊張により、交感神経が活発になり動悸、発汗、ふるえが生じます。
代表的な症状 ※他にも症状はたくさんあります。
命に関わる病気ではないので、そのまま放置している人も多いです。ただ放置しておくと非常に生活しにくくなります。緊張する場面を避け続ければ、誰かと会うことも怖くなります。最終的には望まない退職、転職となってしまうのです。
「まちがいなく自分は他人に不快感を与えている」「必ず他人は自分を不快に思っている」という考えがより強固(確信)なタイプの対人恐怖です。
代表的な症状 ※他にも症状はたくさんあります。
実は「これは社交不安症の1つでメンタル面の病気だ」と気づかない場合も多いです。精神科の代わりに他の診療科に行くことも多いです。口臭が心配なので歯科でインプラントをしてもらう、醜形恐怖が心配なので美容整形を繰り返す・・など。インプラントや美容整形はかなり高額な治療です。特に美容整形に関しては繰り返してしまう場合も多いです。大変な経済的負担です。視線恐怖症は経済的な負担は比較的少ないですが多くの方が悩んでいます。
不安が高まる理由は何でしょうか。主な理由を3つ紹介します。
社交不安症の人は以下のような時代を極度に恐れています。
このような事態を恐れます。恐れるために周囲に常に注意する必要があります。いつ恐れていることが起きるかもしれず、いつ指摘されるかも分からない。こんな状態では不安や恐怖は高まってしまいますよね。
社交不安症の人は自分自身に注目しすぎています。自意識過剰という言葉がありますが、それに似ています。他人からどのように見られているかを気にするあまり、周りの変化や他人の話を集中して聞くことが出来ません。周りよりも「自分はどう思われているか」ということに注意が向いてしまうのです。自分に注目すればするほど不安は強くなります。
他人との交流を避けようとしたり(回避)、交流場面から離れようとします(逃避)。社交不安症の人は対人交流場面で非常に緊張するため、様々な手段を使って回避と逃避を続けます。回避と逃避を使わうことに慣れすぎると対人スキルがどんどん低下していきます。スキルが低下しているので、やはり不安が高いままなのです。
社交不安症は病気なので医療機関受診をまずはお勧めします。受診する診療科は精神科、心療内科になります。精神科と心療内科の区別をたまに聞かれますが、だいたい同じだとご理解いただければと思います。ただ、精神科受診というのはハードルが高いですよね。そもそもどう相談していいか分からない場合も多い。精神科に受診する時に気を付けていただきたいポイントをこちらのブログにまとめています。どのように相談するかを解説しています。
認知行動療法も有効な対処法です。認知行動療法はカウンセリングの1つになります。社交不安症に有効性が確認されています。
認知行動療法の標準的な手順について説明します。
となっています。急に専門用語などが並んでいて分かりにくいですよね。この手順で大事なのは下の3つです。
この3つは必須です。具体的な例をこちらのブログで紹介しています。1つ目は発表場面で声が震えるケース。2つ目は視線恐怖症のケースです。
社交不安症の代表的な症状、不安が高まる理由、対処法を解説しました。「社交不安症は1日で良くなる」「1回のカウンセリングですぐに良くなる」というわけではありません。まず自分はどのような症状で困っているかを確認し、不安が高まるようなことをやっていないかを振り返る。そして認知行動療法に取り組む。こういう流れが一番お勧めです。ただ、こういった作業は一人で出来るものではありません。カウンセラーと一緒に取り組むことを推奨します。
【参考文献】
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
認知行動療法やLINE・Zoomでのカウンセリングを提供しておりますので、もし専門家のサポートが必要な方はカウンセラープロフィールやメニューをご確認の上、ご利用案内に沿ってお問い合わせください。
この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。