公認心理師の藤井です。社交不安症(社交不安障害、あがり症)の治療は精神科や心療内科で行います。最初の診察で何をどう伝えるか迷うところです。そもそも社交不安症の方は話すことに緊張します。医師にどうやって自分の悩みや不安をわかってもらうか。なかなか難しいところです。身体の症状でも伝えるのは難しいのですから心の変調を言葉にして伝えるのはもっとややこしいです。こういうお悩みをよく聞きます。
【診察でうまく伝えられない典型例】
このような悩みは当然です。緊張や不安が主な困り事ですので、それを伝えたいけど「診察」 と言う場面がそもそも緊張します。 ただ、自分の希望や困りごとを医師へ伝えないと満足のいく治療を受けれません。結局不満が残ったまま、治療は中断します。それはとても残念なことです。この記事は中断を防ぐために上手な伝え方のポイントを解説します。この記事を読むと次の診察から困っていることを診察で伝えやすくなります。
目次
まず、言いたいことは文章にすると良いでしょう。無理に話す必要はありません。イメージとしては、A4一枚くらいの量におさめるのがおすすめ。その方が医師に伝わりやすいです。書き方ですが、具体的なほうがいいでしょう。書き方の良い例と悪い例をお伝えします。
【良い例】具体的で箇条書きにする。
【悪い例】抽象的で短い。
抽象的だと、なかなか伝わりにくいですし誤解や認識のずれが生じます。具体的に伝えることで問題を共有しやすくなります。もし、状況が複雑だったり上手くまとまらない時はこのように書きましょう。
【まとまっていない時の説明】
どのような治療を受けたいかを明確に伝えるのはとても大事です。別にワガママではないので安心してください。治療は御自身がお金を払って受けるものですので当然です。例えばこのように伝える方が多いです。
【受けたい治療の伝え方の例】
可能であれば最初の診察(初診)でお伝えすることをおすすめします。なぜなら、初診の次は二週間後、場合によっては一か月後になるからです。早めに希望はお伝えになったほうが良いです。ただ、そもそも専門的なことは分からないので何を聞いて良いか分からない時もあると思います。そういう時は下記のように診察で伝えましょう。
【医師へどう聞いて良いか分からない時の聞き方】
治療の希望がそのまま通らない場合もあるかもしれません。希望する以外の治療が提案される場合もあるでしょう。その際は主治医と話し合うことをお勧めします。治療や薬に関する説明を省いたり、曖昧な説明をする医師はあまりお勧めしません。社交不安症をはじめとするメンタルヘルス系の治療には、医療者との信頼関係がとても重要です。ちゃんと説明してくれる医師が「良い医師」だと私は思います。
文章に書いてくるけど、紙にびっちり細かく書いてこられる人もいます。それではなかなか読めないのが実際のところです。たくさん伝えたいお気持ちはわかるのですが診察時間は限られているので医師も読めません。例えば項目を分けて書いてみたらどうでしょうか?以下はあくまでも記載例です。
【現在の状況】
【困っていること】
【治療に関する希望】
このようなに項目に分けると読みやすいと思います。ただ最初から無理して整理しようとしなくても大丈夫です。
精神科の初診で医師に伝えるポイントを説明しました。要約すると、まずは伝える際は文章にすること。記載量はA4一枚くらいが妥当でしょう。次にどのような治療を受けたいかをわかる範囲で伝えてください。ここの部分に真摯に対応してくれるのが良い医師だと私は思います。そして項目に分けておくと読みやすいでしょう。より伝わりやすいと思います。
最後に宣伝です。kiyokiyo(きよきよ)は、社交不安障害(スピーチ恐怖症・社会不安症・あがり症・対人恐怖症)を専門とした心理カウンセリングルームです。公認心理師・臨床心理士が運営しております。
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この記事の筆者
公認心理師・臨床心理士。社交不安症(障害)の認知行動療法を専門とする。首都圏の精神科病院、カウンセリングルーム、メンタルクリニックにてカウンセリング、復職支援、心理検査等を担当。